第3弾 SHE LOVES YOU / ALL MY LOVING | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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![]() 1964年4月5日発売 |
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◆1963年7月1日アビー・ロードのEMIスタジオの第2スタジオで、トータルで5時間45分かけてリール・テープ3本にレコーディングされた。 ビートルズ初のミリオンセラー・シングルとなったこの曲は“yeah yeah yeah”というビートルズのキャッチ・フレーズのもとになった曲である。 ◆前の週、ジョンとポールは6月26日にマジェスティック・ボールルーム出演後、バンで走っている時にふたりでアイデアを出し合った。ポールの最初のアイデアは“She loves you”のメロディのあとコーラスで“yeah yeah yeah”と追いかける掛け合いの形だったのだが、それは安っぽいというジョンの説得により却下された。その後Newcastle-upon-Tyne hotelの部屋でこの曲を書いた ◆リバプールの人間は「yes」とは言う代わりに「yeah」と発音すると言うところからの“yeah yeah yeah”のフレーズのヒットによりビートルズがわけのわからない若者としての象徴となり、大人達から敬遠された原因の一つにもなった。しかし内容的には、それまでのポップスが「僕」と「君」の世界しか描いていなかったのに対して、ポールのアイデアで、詞の中に「SHE」という第三者(振られたと思い、おちこんだ君に対して彼女の愛を伝える僕)を登場させるというそれまでのポップスにはなかったシチュエーションを作り上げた。 ◆ジョージ・マーティンは彼らのリハーサルを聞き最後のコードの部分に興味を持った。奇妙なメジャー6thでジョージが6thを弾き、ジョンとポールが3rdと5th を弾いた。「まるで、グレン・ミラーのアレンジのようだった。」と語っている。ビートルズのメンバーは「すごいコードだ。こんなコードは今まで誰もやらなかった。」と言っていたが、ジョージ・マーティンは実は、そうではなかったことを知っていた。 ◆なお『SHE LOVES YOU』には『Sie Liebt Dich』というドイツ語ヴァージョンもある。『Sie Liebt Dich』は1964年1月、3週間にわたるパリ・オランピア公演の際に録音された。本人達はいやがっていたのだが、ドイツで売るためにはドイツ語でなければ絶対売れないと説得され無理やりスタジオに連れて行かれた。しかし結果的にはドイツ語ヴァージョンがなくてもドイツでも大ヒットした。こちらのヴァージョンは、ステレオ盤もある。 ◆イギリス発売は1963年8月23日(Parlophone R-5055)、「FROM ME TO YOU」につづく第4弾シングルとして発売されイギリス・ポップス界初のミリオンセラーとなる。アメリカ発売は1963年9月16日(Swan4152)マネジャーのブライアン・エプスタインが「Please Please Me」、「From Me To You」で実績をあげられなかったVee Jay レコードと手を切り、Swanレコードと単発契約した。1964年に契約が切れると同時に廃盤となったため、このシングルは現在かなりの高値を呼んでいる。 ◆ドラムスのイントロのあとや、エンディングのコーラスの部分などの、「She loves yeah yeah yeah yeah」の最後の部分のみ3声のハーモニーになっている。ギターに関しては、頭のコーラス・パートがおわって、メロディの歌い出しから11・12小節目のあのジャラーン・ジャラーン・ジャラーンという特徴的なフレーズだが、実際は9・10小節目の部分(She says she loves youの後)にも同じフレーズが入っている。この9・10小節目の部分にもと同じフレーズが入ることがチョットしたポイントなのである。いろいろな譜面をみたが、ちゃんと表記してある譜面を見たことがない。 ◆この曲は最低必要なドラムス、ベース、サイドギター、リードギターという4人の楽器のみでアレンジされ、演奏されている。とくにオーバーダビングをしているわけでもないにもかかわらず、これだけ完成されたサウンドを作っているのはさすがである。それだけに、コピーする時にひとつひとつの楽器の音、例えばハイ・ハットの音やサイド・ギターの音などを、出来るだけ忠実に音作りしないとなかなか似たサウンドにはなりにくい。 |
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録 音 秘 話 |
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![]() 1964年5月5日 |
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◆ポールが先に途中までの詞をつくり、後で作曲をしたという初期の傑作。 イギリス発売は1963年11月22日セカンド・アルバム「With The Beatles」(Parlophone PCS-3045)の1曲として。「With The Beatles」からは1曲もシングル・カットされていなかったため、人気のあった「All My Loving」をタイトル曲にしたコンパクト盤を発売した。1964年2月7日(Parlophone GEP-8891)「A-1 All My Loving,A-2 Ask Me Why,B-1 Money, B-2 P. S. I Love You」。 ◆録音は1963年7月30日。セカンド・アルバム「With The Beatles」のレコーディングのうちの1曲として録音された。この日は午前10時から「Please Mister Postman」、「It Won't Be Long」を午後1時30分まで録音、途中BBCラジオで『ノン・ストップ・ポップ』のインタビュー、『サタデイ・クラブ』の収録(ここで、ビートルズはShe Loves You、Glad All Over、Twist & Shout、You Really Got Hold On Me、I'll Get Youの6曲を演奏)終了後、午後5時にEMIスタジオに戻り、「Money」、「Till There Was You」、「Roll Over Beethoven」、「It Won't Be Long」のつづきを収録後、最後に「ALL MY LOVING」が録音された。テイク数は1〜14(テイク5が欠落)。テイク12〜14がオーバーダビング。(テイク11にオーバーダビングしたテイク14がマスター。)午後11時に録音終了。 ◆信じられないスケジュールである。現在の日本において演歌のレコーディングが早いと言われているが、歌の録音時間も含めると上手い歌手でもミックスダウンまで、せいぜい1日1曲ないし2曲が限界だと思うが、ましてやロックのレコーディングにいたっては1日12時間録音するとして、1曲ミックスダウンまでするのに3〜4日かけている。それを考えると、いかにビートルズが演奏も歌も優れているのかがわかる。そしてそのほとんどすべての曲が、名曲、名演奏なのだからまったく信じられないのである。 ◆有名なジョンのリッケン・バッカーの3連(6連)のカッティングが演奏のポイントである。この曲以前にも3連のカッティングの曲があるにはあったのだが、インパクトという意味では圧倒的にジョンのアレンジ勝ちである。 ◆当時、このカッティングを一生懸命練習したことを鮮明に覚えている。ギターに関しては、ジョージのチェット・アトキンスばりの間奏も素晴らしい。ジョンの印象的なカッティングにくわえて、ジョージの間奏があれば、ポールの歌を除いてもすでに傑作である。そしてポールのベースも名演奏と言われるランニング・ベースである。 間奏後、1、2コーラスとは違うちょっと間違えたようなフレーズを弾いているが、ノリがよいのでこのCDでもそのままコピーしている。 いろいろなアイデアが沢山出てくるこの当時のレコーディングを本当に見てみたかったと思う。 ◆メロディ部分はポールのダブル・トラック、後半のサビの「Close Your Eyes...」のメロディの3度上のパートもポールのオーバーダビングである。ライブではその部分だけジョージが主旋律を歌い、ポールが3度上をハモっている。「All My Loving...」のバックの「Woo...」はライブではジョンとジョージの2声だが、レコーディングでは3声のハーモニーになっている。 3連のカッティングを演奏している時はジョンは歌わないでいいという考えられた構成になっている。生ギターはメロディ部分はシャッフル(3連の中抜き)、サビは裏のリズムを刻んでいる。 |
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録 音 秘 話 |