【録音秘話】

All My Loving


最初ジョンの3連カッティングを弾き始めたのですが、
リズムのキープが結構疲れるということで、
これも佐々木氏によろしくということになりました。
当然、年数からいっても僕の方がビ−トルズの聞き込み方は激しいので、
彼に弾いて貰い、後ろでああでもないこうでもないと言っているほうが
効率が良く、なんとなくこのパターンが定着しました。



間奏のチェット・アトキンス風のフレーズは自分で弾いたのですが、
タ・タン・タン・タンの頭の部分はリズムがちょっと狂うだけで
感じが違ってしまい何度もやり直しました。
リズムは当然なのですが
その部分のボリュームがジョージとイメージが違い
何故なのかを調べるためにまたビデオなどを見てみると、
その部分だけはアップ・ストロークで弾いていることが解りました。
ダウン・ストロークで弾くと6弦を強く弾こうとしても
無意識的に5弦にピックが当たるのをさけるために
どこか弱くなってしまうのです。
アップ・ストロークならば6弦のそとには弦がないため強く弾けるのです。
当たり前の何でもないことがレコーディングしてみると
微妙なニュアンスの違いとなってその積み重ねが
はっきりと別物になってしまうことがまたまた明確になりました。

3連と同時に後ろで弾いているシャッフル(3連の中抜き)と
サビの裏のリズム・カッティングが想像以上に重要なポイントになっていて、
この2種類のカッティングの重なりぐあいがあのドライブ感を作っています。
これは全部弾いた後にその重要さに気がつきました。
あの年頃であの時代でこれを考えていたザ・ビ−トルズの
アレンジ能力の高さがすごいものであり、
他の、ブリティッシュ・インヴェイジョンの時のバンドの中から
抜きん出てきた理由でもあったと思います。

細かいことなのですが
エンディングの最後の音はベース以外は全部余韻は無しです。
カッティングのイメージとしては「ジャッ」という感じで切ります。

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