【録音秘話】

HELP !


今回もギター・ベースは全面的に佐々木氏が演奏しています。
「HELP !」という曲はジョン・レノンの心の叫びともいう内容だけに、
歌に関してもかなり気持ちを入れないと雰囲気が出ませんでした。
特に歌い出しのシングル・トラックの部分はジョンの歌い方が
そのまま曲の印象になってしまうために何度もやり直しがありました。
コーラスの「Help」のフレーズは
ちょっとしゃくり気味に歌うのが迫力を出すポイントです。
リード・ヴォーカルのメロディとコーラス・パートの音が
クロスする部分を聞き取ることが難しく、
ライブの音源やビデオにかなりお世話になりました。
最初に苦労したのはドラムスの音作りでした。
スネアのリム・ショットの音がこの曲はかなり特徴的で、
この音やサビに入るまえのスネアの音が違うと雰囲気が違ってしまうため、
音を探す作業が結構大変でした。
スネア以外ではシンバルの音で、昔のドラマーが良く使っていた
鋲がうってあるシンバルの響きがずっと鳴っているためこのシンバルを探したのですが、
僕のまわりに今どき、持っている人がいなかったため
シンバルの上にブレスレットやキー・ホルダーをたらして録音した音を使いました。
ギターもやはり最初に音を似せることにかなりの時間を費やしました。
レコーディングが2拍、4拍のキザミ以外はほとんどがユニゾンで
ダブル・トラックにダビングされているため、
実際にダブルにするまで似ているかどうかの判断できず、
何度も確認のためだけのテスト・レコーディングが続きました。



インナーの解説の通り、ベースは3コーラス目のドラムスがないパートだけ
ダブル・ノートで弾いています。
頭の1発目は4弦5フレットのAと3弦7フレットのE、
(Help in any way)の場所のD-G-Aが和音になってます。
ポールの頭を引っ掛けた、弾んだ弾き方が意外と難しく、
佐々木氏も結構苦労していました。



三橋氏に借りたグレッチ・テネシアンがかなり乾いた張りのあるいい音で
オリジナルよりも音が立ってきてしまうため、
ギターのトーン・コントロールやアンプのコントロールで調整しました。
アコースティック12弦ギターも井上陽水氏に借りたTailorと
町支寛二氏に借りたアダマスで両方の音の良い所を使いました。
演奏は佐々木氏が、やはり半音進行のアルペジオの部分でちょっと苦労していましたが、
日を改めて演奏し直した時には完全マスターしていました。脱帽です。
意外とB-A-G,G-F#-Eの場所がダブルのタイミングが難しいことに気がつきました。
ビ−トルズのドラムスのブレイク後のギターを聞くと
F#の音の時にタイミングのズレがハッキリと解るのですが、
他の難しい部分がクリアしていたのでOKにしたのだと思います。



解説にも書いたのですが、スネア・ドラムの音に特徴があるため音作りに苦労しました。
この曲のサウンド全体が変わってしまうのです。
ライブ演奏では仕方がありませんが出来るだけ高いチューニングにしたほうが
雰囲気は出ると思います。
戻る