【録音秘話】

A Hard Day's Night


今回、レコーディングの前に音の分析をしていて、
今まで常識的に12弦ギターで弾いたと思われていた間奏のギターについて
面白いことが解かりました。



通常言われていたのはテープスピードを半分に落とし、
ジョージ・マーティンのピアノをダビングしたうえに、
12弦ギターをオーバーダブしたと言われていたのですが、
実際はピアノに関しては普通のスピードで弾き、
テープの回転を半分にして、
グレッチのローポジションの1弦から3弦で
開放のポジションを使って弾いているのです。
間奏には12弦ギターは使われてはいなかったことが解りました。
ジョージ・マーティンのピアノがスピードについていけないからだとか、
いろいろな説があったのですが分析してみると、
原因はやはりジョージ・ハリソンが
12弦ギターできれいに音が出せなかったために、
ピアノとグレッチで12弦の効果を出そうとしたものだと思われます。
スピードを半分に落としたテープにオーバーダブしたグレッチも
2回あるフレーズの最後の音が2回とも違うミスタッチをしています。
(タラリ・タラリ・タラリ・タラリ・タラタ・タンタン
という感じのフレーズ)。
このCDでもテープ・スピードを半分に落としてグレッチで録音し、
ミスタッチもそのまま再現しています。

リッケンバッカーの12弦は
開放弦の音とハイポジションの音ではチューニングを
相当きびしくやってもピッチが変わってしまうことも原因のひとつかもしれません。
ジョージのために弁解しておくとライブでは
12弦ギターで間奏を弾いているのですがかなり上手く弾いています。

CD-Extraのインナー解説に詳しく書いた
イントロのジャーンに関しては
かなりたくさんの人が様々な分析をしていますが、
間奏に関しては12弦を使っているという先入観のためか、
このことに触れているものはひとつもありませんでした。
この分析は手前味噌ですがかなりの発見だと思います。



このシリーズの録音では途中から
アメリカにいる西邑理香さんのご主人で友人の元FOGHATのベーシスト、
DAVE CRIGGER氏に歌った音を送り、
英語の発音のチェックをしてもらっているのですが、
歌詞カードにチェックをされた箇所がかなりあり、
結構自信をもって送ったMDだったのですが無惨にも
その自信は完膚無きまでに砕かれてしまいました。
アップ・テンポなのではっきり発音しているつもりでも
何を言っているのか解らないという
「さんまのスーパーからくりTVファニエスト・イングリッシュ」状態に陥ってしまいました。



今回レコーディングに使用した楽器と弦は
グレッチ・カントリージェントルマンにはダキストのフラットワウンド.012〜
リッケンバッカー360/12にはPYRAMIDギター弦(Made in Germany)12弦用(.010〜.0465)
リッケンバッカー325にはPYRAMIDギター弦ショートスケール用(.013〜.052)
ギブソンJ-160EにはGibson900ML(.011-.052、3弦が巻弦)
へフナー500/1キャバーンにはPYRAMID BASSショートスケール(Hofner用)
アンプはVOX・AC30を使用しています。

戻る