【録音秘話】

Ask Me Why


歌いだしの“I love you”の頭からの3声のハーモニーで
ジョンだけがyouの伸ばしの音が他の2人とは違うフレーズを歌っているのですが、
聴きようによってはポールもジョンと同じように伸ばしているように聞こえる時があり、
やはりライブのCDなどで確かめる作業がかなりありました。


ジョンのソロパートのバックでの「Woo」のコーラス・パートもライブでは
1コーラス目も2コーラス目も同じように歌っているのですが、
レコードではジョージが途中で息継ぎをしたり
ポールがちょっとアドリブというほどではないけれど
メロディを崩して歌ったりと
毎回微妙に変わっていてそれを憶えるのにちょっと苦労しました。
この曲のジョンのパートを聞いていてあらためて気がついたのですが、
ジョンの歌い方は単語のひとつひとつを語尾の部分まではっきりと
息を出し、音を切る部分もかなり意識的に切っている
ということを感じました。
もちろんソフトに消えて行くような歌い方もしているのですが、
これ以降他の曲も意識して聞いてみると
全体的にそんな感じがしてます。
コピーする時のちょっとしたポイントかもしれません。



CD-Extraのインナー解説にも書いたのですが、
テンポは相当は揺れていてイントロと歌中とのテンポが全然違うのです。
レコーディングの時に
クリックを入れてある程度の決めたテンポで録音するので、
最初はイントロのテンポにあわせてクリックを入れて
バックの音を入れていったのですが、いざ歌を入れてみると
メロディ・パートがメチャクチャ早いテンポになってしまい、
ビ−トルズがライブの際に今日は早く終わらせたいと思った時に、
全部の曲を速いテンポで演奏したという話があるのですが、
まるでそんな感じのいそがしい歌になってしまいました。
それなら今度はメロディのテンポにクリックを合わせてレコーディングすると、
イントロの段階で別の曲のような印象になってしまいました。
次は中間のテンポで演奏しようということになり、
平均のテンポで録音したのですがやはり妙に気持ちの悪いテンポでした。
結局、まるまる1曲の最初から最後までリンゴのドラムに合わせてテンポを打ち込み、
演奏すること以外にこの曲の正しいテンポはありませんでした。



最近の普通のレコーディングは打ち込みが常識的に使われていることもあり、
リズム隊のレコーディングでもクリックを入れることは何の抵抗もなく行われていて、
テクノなどのように打ち込みの気持ちよさはそれなりに感じてしまうのですが。
本来音楽というものは感情に合わせてテンポが速くなったり遅くなったりするのが
当たり前だったことを再認識させられました。



ジョージのギターのバッキングのパートは、
佐々木孝之氏が1フレーズごとに
ジョージが粘っこく弾いたり走り気味に弾いたりした部分も徹底的に
コピーをしてくれたおかげで、かなりいい感じに仕上がったと思います。
購入してくれた方からも
「カラオケを聴いているとビ−トルズの声が聞こえてくるような気がします。」
と嬉しいメールを戴きました。

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