【録音秘話】

I want To Hold Your Hand

第1弾目ということもありコンピューターの試行錯誤の時期とも重なり
「This Boy」も含めまだやり直したい部分も多少残したままの
リリースになってしまいました。



「I want To Hold Your Hand」は録音したときに一番難しかったのは
ジョンのサイド・ギターのカッティングでした。
あの独特のモコモコしたサウンドを出すのに相当時間がかかりました。
実は第1弾のリリース時には気がつかなかったのですが、
このCDを購入してくれた神戸の林さんという方からのご指摘で、
弦の種類が違っていることに気がつきました。



ギター弦には大きく分けて2種類あり、
JAZZ系のギタリストがよく使用するスライドしたときの
キュッという音が出ないフラットワウンドと
普通にエレキギターに張られているサスティーンのいい
ラウンドワウンドがあります。
厳密にいうと素材もニッケルとかステンレスとかあり、
それぞれサウンドは違うのですが。
ザ・ビ−トルズはそのフラットワウンドの弦を張っていたのです。
ドイツのピラミッドというメーカーの弦が一番近いということでした。
後で張り替えて演奏してみると、あのモコモコ感はその為もかなりありました。
その弦をザ・ビ−トルズが使っていたのは、
その当時はそのメーカーの弦の値段が安かった事が
ひとつの原因という説もありますが。
勿論ジョンのスタッカート気味に弾くカッティングも
大事な要素であることは言うまでもありません。



歌に関しては
「I want to hold your hand」の一番高い「hand」の音が
それまで上のパートをとっていたポールではなく
ジョンがその部分だけファルセットで歌っているのです。
もう完璧だということで録音が終了してマスタリングを終えた時にそれに気がつき、
間違いなくジョンが上を歌っているのかどうかを確かめるため
アルバム「アンソロジー」を筆頭に手持ちのビデオ、アウトテイクのCDなど
かなりの本数を聞き直して確認し、やはり全部やりなおしということになりました。

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